和文化再発見の2006年「和のこころ、大切に…」

お正月、お節、初詣…
新年は伝統に触れるいい機会
普段の生活にも生きている
日本の文化について
見つめなおしてみませんか

■和のこころを探る年…
2006年、皆さんは新年を新たな気持ちで迎えることができましたか。
年明けはお正月にお節、お雑煮、初詣、お年玉等々、伝統に触れる機会が多くなります。昨今では食べ物やライフスタイルなども変化していますが、せっかく日本で暮らしているのだから今年は和文化を再発見する年にしてみませんか。
きっと知っているようで知らないことがたくさんあるはずです。

■意外と知らない「お箸」の世界
日本食といえば「お箸」。幼少の頃からお箸を使うことで脳が刺激され、手先の器用な日本文化が生まれてきました。
日々の食事にお箸を使っている人も多いはず。でも意外と知らない事柄もあります。例えば、割り箸には種類や素材別に用途内容が異なります。

<割り箸の種類>
●丁六(ちょうろく)
大衆向けの箸で、カットしただけの角のあるもの。頭部は、カット面が角のとれていない長方形をしています。
●小判(こばん)

和文化再発見の2006年1

丁六の箸の角を丸く削ったもの。頭部を見ると、4つ角に丸みがあり小判のような形をしています(→※写真参照)。

●元禄(げんろく)
小判のお箸の中心に割れ目が入ったもの(→※写真参照)。

和文化再発見の2006年2
●利休(りきゅう)

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上でも下でも食べられる、中太両細の両口箸(→※写真参照)。
神事に用いられます(自分自身と神様がそれぞれの箸先で食べるという意味合いから)。箸先が細いものほど高級品。
素材もいろいろで用途により使い分けられます。結婚式などに用いられるのはバラ利休箸(その場で割る行為は縁起が悪いため)。
ハレの日に用いるのは柳や檜で作られたものを用い、めでたい席には、末広がりの意味を込めて八寸(24㎝位)のものを用います。
●天削(てんそげ)

和文化再発見の2006年4

頭部が削げている箸。懐石料理店や鰻屋などで用いられる高級品です(→※写真参照)。
天削箸は杉材が高級とされ、特に吉野杉を用いたものは高級品とされます。
割箸を「おてもと(お手元)」といいます。これは「手もと箸」を丁寧に呼んだものです。
またお箸を入れる「箸袋」は、平安時代、宮中の女官が着物の切れ端で作ったことが始まりとされています。
めでたい席には紅白の色使いをし、たくさんの福が入ってくるようにとの意味を込め左前に折り、端は一寸折り返します。まためでたい席の箸袋は幅の広いものを使用します(→※写真参照)。

和文化再発見の2006年5 祝いの箸袋
ちなみに、持ちやすいお箸の長さは、親指と人差し指をL字(直角)に開いた際人指し指の先を結んだ長さを「一咫(ひとあた)」といいます。
そしてこの「一咫の1.5倍の長さ」がちょうど良い箸の長さといわれています。

<お箸のマナー>
何気なく使っているお箸ですが、いろいろとマナーもあります。例えばお箸を使う際には、箸先を一寸(3cm位)以上は汚さないのがマナーです。
他にもタブーがたくさんあります。
皆さんの普段の箸使いはどうでしょう。以下のようなことはタブーとされることです。
・寄せ箸→食器を箸で手前に引き寄せること
・叩き箸→食器や食卓のお膳を箸で叩くこと
・橋渡し→箸と箸で料理のやりとりをする
・立て箸→ご飯に箸を立てること
・迷い箸→どの料理に箸をつけるか迷うこと
・探り箸→料理の中の食べたいものだけ探る
・刺し箸→料理に箸を突き刺して食べること
・涙 箸→箸先から汁等を落とすこと

■日本料理
日本料理の形式は「懐石料理」、「会席料理」、「精進料理」、「本膳料理」の4つです。
現在では懐石料理と会席料理については、ほぼ同様の意味になっていますが、本来は異なります。
●懐石料理
茶事を催す時、茶をふるまう前に供する食事。
主催者の亭主の手料理で給仕もすべて亭主が行います。
千利休が唱えた侘び茶の精神によれば、茶を飲むことが目的のため料理は素朴で簡単なもので一汁三菜が基本です。
現在は「茶懐石」と呼ぶようにもなっています。
●会席料理
料理店や旅館などで供される料理で献立のあるもの。
酒をのむための酒菜で構成され、多くは最後にご飯が出てきます。
●精進料理
仏教が禁じていることに従った食事。狭義には動物性食品の入らない料理。
ニンニクやネギ、ラッキョウなど臭いの強い野菜類も禁じられています。
修行中の僧侶が日常の食とします。
●本膳料理
飯・汁・香の物の付いた本膳の料理。
一汁三菜・一汁五菜など複数の形式があり、室町時代に確立した式正料理という儀式料理の中で供された料理。
多いものは七膳まであり食べ方も複雑でしたが、後に二の膳付の二汁五菜・二汁七菜ていどの袱紗料理を、本膳料理と呼ぶようになりました。

■食卓のコーディネート
日本で昔から使われている食器や膳は、実に合理的です。例えば「高足膳」は雛壇や旅館の宴会などで目にするものですが、日常生活でも十分に使えます。

和文化再発見の2006年6

一人分を配膳してあるため食べやすく、ご飯に汁物、煮物、なます(魚)、香の物とバランスの良い食事が摂れ、もし箸置きが無い場合でも食事中は箸先を膳の左端に置け、食事が済んだら箸尻を膳の右端に置けるという便利なマナーがあります。(※高足膳)

 

また伝統的な和の食卓を現代風にアレンジするのも素敵。
例えば、お重に染付けの大皿といった、日本の伝統的なお正月の王道のコーディネートを現代風にアレンジすることもできます(※写真)。

 

 

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日本の伝統的なお正月のコーディネートを現代風にアレンジ

「TOKYO STYLE 2006」
TABLE FESTIVAL 2005「第3回豊かな食空間コンテスト」
出展作品:経済産業省、TCS関東甲信越支部提供写真
日本の流行発信地としての東京を意識し伝統的な日本の食器・染付けと漆器の輪島にガラスの器を合わせたモダンなコーディネート。
製作者:栗原さち世、田渕弘子、堀江千秋
さて、どうでしたでしょうか。
皆さんもこの新年に、ぜひ多くの和文化と親しんでください。

 

週刊フリー巻頭特集2006年1月6日号

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